「co.jp」ドメインと成長のカギ 企業トップが語る

株式会社ホテルオークラ東京
代表取締役社長/総支配人 清原 當博

1949年1月生まれ。学習院大学経済学部卒業。1971年大成観光株式会社(現ホテルオークラ)入社。レストラン・宴会サービスの現業部門、1997年マーケティング部部長、営業企画部部長、総支配人室室長を経て、2001年に京都ホテルに出向。京都ホテルオークラ総支配人を経て、2009年より、ホテルオークラ東京 代表取締役社長・総支配人を務める。

伝統とブランドは、革新からしか生まれません

2012年5月に開業50周年を迎えるホテルオークラ東京。
半世紀にわたり、日本最高峰のホテルとして、高い評価を得てきた。
その真髄は「親切と和」を大切にし、
多種多様な宿泊客一人ひとりに対して安心と信頼を提供してきたことだ。
総支配人の清原當博さんに、ホテルオークラ東京を支える精神について聞いた。

一人ひとりの想いに応える徹底したホスピタリティ

年間24万人が宿泊するホテルオークラ東京。常に『BEST A.C.S』、つまり最高のAccommodation(施設)、Cuisine(料理)、Service(サービス)の提供をめざし、国内はもちろん、世界でもトップクラスのホテルとして知られる。外国人宿泊客の比率が高く、常連客には政府要人、大企業エグゼクティブなども多い。そのビジネスの根幹を支えるのは、開業以来、社員に受け継がれてきた、高いレベルのホスピタリティだ。清原さんはその心得をこう語る。
「100人のお客様には100通りのサービスがあり得ます。さらにこちらが100点のサービスと思っていても、お客様には実はそれ以上の期待があり、それに応えてこそ、本当に満足していただけます。そして100人のうち、一人でもご不満があってはなりません。つまりホテルオークラ東京にとっては、『100は100以上であり、100引く1はゼロ』。そんな厳しい方程式で成り立っている世界なのです」。

マニュアルでは実現できない、『紙一重の差』をつける

理念としては「親切と和」を掲げている。「私たちが担うのはモノ文化でなく、コト文化。つまり、計量化できない価値を提供しています。そのために大切なのが『親切と和』。『親切』は気持ちだけでなく、技術の裏付けがあってこそ可能になります。『和』を創りだすのは、お客様を必ず満足させるという意欲とプロフェッショナリズムと言えるでしょう」。
この理念は『紙一重の差』をつけるというサービス精神にも反映されている。
「例えば、当ホテルのドアマンはタクシーでいらっしゃったお客様が一万円札の両替に困らないよう、常に新品の千円札を10枚常備し、お客様にかかった雨のしずくを拭うために白いタオルを携行しています。また社員は皆、シュークリーナーを携行し、備品やガラスのわずかな汚れも気づいたらすぐ落とすのです」。
ある時、レストランで一人で食事をしている初老の紳士がいた。テーブルには妻らしき女性の写真がある。実はそれは遺影で、レストランは夫妻の思い出の場所だった。
「それを知った女性社員は、後に同じお客様が来店されたとき、予め写真立てを用意してテーブルに置きました。こうした心づかいの標準化はできません。ですからホテルオークラ東京にはマニュアルというものがないのです」。

海外研修で開眼したホテルマンとしての志

そんなホテルオークラ東京の社風を体現しているような清原さんだが、入社後10年間はレストラン、宴会の現場で仕事をしていたという。
「当時は将来のことまではあまり考えていませんでした。その後、営業に異動し、36歳の時、海外研修でアメリカのコーネル大学で7週間、学ぶ機会を得ました。これが大きな転機になりました。外国人の学生はいつでも堂々と主張します。でもよく聞くと、ごく当たり前の内容しか話していません。物怖じせずに行動することの大切さに気づき、同時に国際的なホテルマンになるにはどうしたら、と真剣に考えるようになりました」。
以後、現場で磨かれたホスピタリティと海外で開眼した積極性で、清原さんは経営者への階段を上っていった。今、トップとしてこう語る。
「かつては、最高のホテルをめざすことだけに集中していればよかったのですが、競争も変化も激しい現在では、経営効率の向上と、最高のホテルの追求を両立しなければなりません」。

ウェブサイトにもこだわり、伝統と信頼の『和』を伝える

そうした中でホテルオークラ東京の強みは、顧客満足につながる『和』のため、伝統に革新を融合させていく姿勢だ。
例えば、同ホテルは、企業や団体、個人が保有する絵画を公開する「秘蔵の名品アートコレクション展」や、各国大使夫人が自国の文化を庭園で表現する「10カ国大使夫人のガーデニング in Okura」、毎月25日に本館メインロビーで行う「ロビーコンサート25」など、数多くの社会貢献型のメセナ活動を実施している。 「いずれも当ホテルでしかできないことは何か、と社員が一から考え、手間暇かけて実現してきたものですが、今では大きな財産となっています」。
2010年にコミュニケーションマーケティング課を設立したのも新しい時代への対応と言える。
「ウェブで宿泊予約を入れたり、情報を調べたりするお客様が増えてきたことから、それまで部門ごとに持っていたウェブ関連の機能をすべて集約し、一元的に対応するようにしました」。 ウェブサイトも全面的にリニューアルした。宿泊特化型ホテルにはできない、文化発信型ホテルのアピールをするとともに、宿泊×レストラン、レストラン×イベントなど、カテゴリーの異なるサービスのパッケージを積極的に掲載し、ホテルでの過ごし方のヒントを提供。さらに、もっと顧客に知ってほしいという、ホテル側の想いを伝えるコンテンツも充実させた。「こだわりの朝食」というページや、テイクアウトコーナーの紹介などだ。また開業50周年の特設コンテンツでは、同ホテルの料理の素晴らしさを、そしてそれを支える「人」を見える形で伝えたいという気持ちで、シェフやウェイターのメッセージも掲載している。
昨年のリニューアル時には、ウェブサイトのドメイン変更も検討したという。
「しかしホテルオークラ東京は、進化する一方で、変わってはいけないものもあると考えました。今まで培ってきたお客様がここに来れば『オークラ』があるという安心を感じてもらえるよう、『ウェブ上の住所』も変えずにいるべきだという想いで、『和』を伝える、いわゆる日本の企業を表すco.jpドメインを引き継いでいこうと決めました。ドメインは、当ホテルの信頼のブランドの一角をなすものだと思っています」。
清原さんは、次の50年に向かうホテルオークラ東京についてこう語る。
「伝統やブランドは、革新を積み重ねてこそ生まれるもの。何を維持し、何を変えていくかの判断も重要です。それによって常に伝統を再創造することが、次の50年を勝ち抜き、愛されるホテルオークラ東京につながっていくのです」。

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/

co.jpドメインの企業ウェブサイト株式会社ホテルオークラ東京

2010年10月に全面リニューアルしたホテルオークラ東京のウェブサイト。月間約15万人が訪れる。同ホテルの文化的側面をアピールするために、宿泊だけでなく、カルチャースクールやメセナ活動の紹介など多様なコンテンツを充実させている。海外からの問い合わせも多く、日本文化ならではの「茶室」の利用に関するものもあるとか。現在は開業50周年の特設コンテンツを掲載中。

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